ランゼロックス1

(ガザール軍サイボーグ戦闘巨人兵器1

蘭亭紅男

正直なところ、ランゼロックスシリーズはあまり好きではなかったのである。深い理由は無い。「車輪で移動する人型メカ」というのが脚歩行やキャタピラ移動に比べてあまり好きではない、という部分はある。「脚」の方が技術的に上、という感じがあるからか。

『As』物語中に登場するランゼロックスTやVは何かの合成画像で誤魔化そう、と最初は思っていた。しかし、結局は立体物を作ってしまった方が何枚も写真を撮れて便利だ、という考えに落ち着いたので立体化作業が始まった。

作業をしている内に愛着も湧いてくる。

基本的なスタイルは原典を受け継ぐ。しかし、原典の「服を着ている」スタイルは自分には再現が難しいと思った。それと服をエポキシパテ造形などで作ってしまうと可動部が減ってしまう。

で、物語後半に登場するバイオモンスター風に見えれば良し、という考えで作っている。胴体の主材料は何か、というとランナー、そして「ビニール被膜でコートされた針金」である。この「ビニール被膜でコートされた針金」というのは近年のフィギュアなどのパッケージ内固定に使用されているものである。某大手玩具メーカーが中国工場で生産した製品に使用しているもので、単純に金属廃棄物として捨てるのも何だか気がとがめたのと、再利用できそうな素材、ということで私の手元にはこれが山ほど有る。

ランナーで「背骨」「肩甲骨」に当たる部分を熱処理で整形、それに「針金」を巻きつける。針金は自由に曲がるので、関節部に当たる部分に「骨」を入れずにおけば完成後も少しぐらいはポーズを変えられる訳である。

「足」に当たる下半身は原典ではミニ四駆が使用されている。今回はミニ四駆の半分ぐらいの大きさの玩具である。戦隊シリーズの車型メカの安価なものを使用している(大体トミカより少し大きい程度。ただし、ほぼプラスティック製)。

この「Asアーカイヴス」の造形物は基本的に原典より小さく作る。そうしないといくら時間があっても完成しない。このランゼロックスTも原典に比べればかなり小さい筈である。

背中のスタビライザーパーツは幅広の物は原典ではコトブキヤのガレージキット「ネオジオ」のものが使われている。他の物は出典不明。「煙突」が確認できるが、この形状を少し変えて成形する。煙突、スタビライザー、共にランナーとプラ板で作り、タミヤパテで表面をならしている。ハイテクメカであっても、結構大きめの煙突が存在するのが小林メカの特徴である。

顔面もランナー加工で作っている。今回のストーリーで発光している「目」の部分は透明ランナーを使用。「顎」は原典では「ネオジオ」の頭部を逆さにして使っているように見えるが、確定できない。

「目」を保護するための透明フードなのだが、これは原典ではフジミ1/72「F16ファイティングファルコン」のキャノピーの流用。これを踏襲するとなると、1/144戦闘機のキャノピーを使う、ということになるのだが、それではいかにも厚みが有り過ぎる。

良い素材を探していたら、たまたまこの製作時に風邪を引いた。カプセル薬を服用していたのだが、その透明パッケージをハサミで切って使用することにした。元々単純な形だが、どうカットするかを吟味すれば良い形にすることができる。これは模型用接着剤でも一応接着は出来る(接着剤で溶解するスチロール素材ではないので、圧力を加えるとすぐに外れてしまうが)。おかげでこのスケールにしては問題ない薄さの風防を確保できた。

ここからが原典と大きく違うところ。相違点は主に二つある。

一つが「尾」。原典では長大な電池を引きずるような形になっている。見た目のインパクトはともかく、これでは速く走れないではないか、というのと、持ち上げて「立たせる」ことを考えると、造形した場合にバランスを取るのが難しい。胴体をバイオモンスター風にしてしまったので、尾も遺伝子操作で作った感じにしてしまえ!と思った。

使用したのは蟹のハサミの複製である。珍しくレストランで食事したら蟹が出てきたので、後で「竹谷隆之ごっこ」をやる為にハサミ部分などを持ち帰った。それを複製しておいたものをくくりつけている。近接戦でこれを相手にぶつけてダメージを与えるのである。

もう一つ、オリジナル装備は右手の巨大三本爪。これも近接戦用。原典では右手にビームガンを持っているのだが、「異様な形だからもっと異様にしよう!」と自分の思考回路が働いてしまったのである。この巨大爪は主に過去に作ったオリジナルロボのパーツ、ガシャポンのパーツの複製品から作った。悪ノリしてロケットパンチをやっているが、これは人によって好き嫌いが分かれるだろう。「人型兵器は近接戦、白兵戦をやってナンボだ!」というミノフスキー理論のようなものが自分の頭の中にあり、「とにかく爪のような相手に打撃を与えるものはデカイ方がいい!見た目のインパクトも大きい」というのが基本思想なのである。

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